Survivorship visit 放射線副作用フォローアップ外来 性機能のお話
手術前、直腸にあった6.5cmほどの腫瘍を小さくするため、
5週間、平日に毎日放射線照射合計25回、
併用して抗がん剤5FUを24時間継続で6週間投与しました。
先日、この放射線治療後のサバイバーシップ外来に行ってきたので
そのことについて書きたいと思います。
以下の内容は女性の患者さん向けですので、男性の患者さんはスルーしてください。
これから放射線治療をされる方のご参考になるといいです。
この日は放射線科の主治医の助手の先生が担当で、
放射線治療による副作用のフォローアップと、
抗がん剤、手術後全般の経過について、メンタル面も含めてのサポート、
そして今後のケアプランを立てるためのものでした。
放射線治療では、急性の副作用としては、
治療中また治療直後の血管内皮障害、
照射部の粘膜炎、(下痢、腹部不快感、頻尿、血尿、排尿痛、肛門及びお尻の皮膚の炎症、残便感)、
また、治療後数ヶ月から数十年で発生する後遺症としては、
照射線量によって、組織の細胞にダメージがかかったために起こる、
炎症、癒着、潰瘍や、管腔臓器の狭窄、通過障害、拡張障害、出血、浮腫などがあり、
このため、治療後長期にわたって観察が必要になってきます。
私の場合、手術前の放射線化学治療で、
直腸の腫瘍が目に見えてきれいになくなり、
おかげでストーマも一時ストーマで済んだので、
(この目ではっきり見て今も思いだすと鳥肌が立ちます)
全体では治療は全て順調で、
おかげで綺麗に腫瘍が消えた分、多少の副作用の覚悟はできているということ、
それと現時点では、放射線による副作用は出ていないことを伝えました。
そして今の抗がん剤の副作用についても、アドバイスをもらうやりとりをした後、
放射線治療後の大切なケアについてということで、
レイチェル先生がここは
「今日の一番大事なことです!」
と性機能に関しての副作用について切り出しました。
まずは妊よう性と生理について。
これについては、治療前に放射線腫瘍科の主治医の先生から説明を受けて
今後子供を持つことを考えている場合は、
卵子を凍結して取っておかなければならないので、
意思を何度も確認されました。
私は、年齢的に妊娠については全く考えていなかったので
躊躇をすることなくすぐに治療に入りましたが、
放射線治療をすると、閉経、更年期に入ってしまうことが多く、
妊娠はできなくなることが多いということ、
仮に妊娠できたとしても副作用から胎児の成長に影響が出てしまう確率が
とても高いとの説明がありました。
私の場合も、放射線治療1週目でとても薄いピンクの出血が少しあり、
それも一瞬で終わってしまったのですが、
それが生理だったのか、放射線治療の副作用での出血だったのかはわかりませんが、
それ以降は生理が来ていません。
そのため、更年期の症状が出ることもあるらしいのですが、
いまのところは更年期の症状も出ていないと伝えました。
生理については、低量のピルを服用することで、
子宮が目覚めてまた生理がくる可能性があるということで、
希望であれば、抗がん剤と、ストーマを戻す手術の後に、
ピルを処方することもできますので言ってください、とのことでした。
私は生理があってもなくてもどちらでも良いので、
ひどい更年期の症状などがない限りはこのままでいいかなと思っていますが
若い方や、更年期の症状が強く出て苦しんでいる方には
試す価値はあると思います。
(ただし、可能性、ということで100%戻るということではありませんでした。)
それから、直腸に当てた骨盤領域への放射線治療の副作用で、
膀胱や尿管や膣または周辺組織に炎症が起きやすくなり、
尿が出にくくなったり、排尿痛があったり、石ができたりすることがあるため、
そういった症状が出ているか質問されました。
現時点では、お腹に痛みも全くなく、排尿などにも
全く問題はない旨を伝えました。
これも、経過観察で今後問題が起きた場合に対応してもらうことになりました。
最後に膣の粘膜を健康に保つことについて。
膣の組織に傷が付きそこが乾燥して癒着してしまうことがあるため、
膣狭窄や癒着などが起きないよう、粘膜を健康に保つための
予防のケアを始めてくださいと、以下の指示がありました。
これは今問題がなくても必ずやってくださいとのことでした。
- 乾燥を防ぐために、保湿剤(ココナッツオイル、オリーブオイル)を週に3回程度は使うこと。
- 処方されるダイレーターを使って、今日から週に2、3回膣を広げるトレーニングをすること(トレーニングと呼ぶかどうかわかりませんが)
これをこれから 2, 3 年続けて、とのことでした。
潤滑剤と保湿剤は全く別なので、代用はできない。
保湿の時は保湿剤(組織を潤す)。潤滑剤は潤滑の目的(浸透はしない)。だそうです。
痛みがある場合は無理をせずに、小さいサイズから試していく。
1回10ー15分程度、潤滑剤を使って、ダイレーターを入れて放置。
その間はできるだけリラックスして、テレビを見たり音楽を聞いたりしていいそうです。
サイズがいくつかあるので、痛みがないサイズから初めていく。
放射線の副作用は後になってから出てくることもあるので、
これを2、3年続けてとのことでした。
帰りに、病院から処方されたプラスチックの白いダイレーターを3本もらいましたが、
先生推薦のシリコンのダイレーターの処方箋もいただきました。
ウェブサイトを見ると、こちらはパステルカラーでかわいい感じ。
どんなものか、ご参考までにウェブサイトはこちら。
いわゆる大人のおもちゃとは違って完全に医療用です。
なので処方箋があれば保険も適用されます。
(日本でも医療用として販売されていますが、保険適用については要確認)
やらなきゃいけないんでしょうが、
ちょっと面倒だな、と思ってしまいます。
自分の体のケアがとても苦手です。
主人も一緒に来てくれていたので一緒に話を聞けてよかったですが、
とにかく命が助かる方が先、と必死だったので、
私たちにはこの分野のプライオリティは非常に低かったのですが、
そして今はまだ全く性生活のことなど私の中では(うちは夫も同じ考えで助かってます)考えられませんが、
やはり、健康になってからこの問題が発生すると
時に訴訟問題に発展する大問題なのだそうです。
確かに、がんコミュニティで、副作用で膣が癒着して閉じてしまったという方の話を聞いたことがあります。
先生方が元の体に戻るようにしてくださっているので、
全ての機能は元どおり使えるように、セルフメンテナンス頑張ります。
放射線治療後のフォローアップは、次回は1年後に予約しました。
何か副作用や不安なことがあった場合には、
いつでも連絡をすればまたサポートしてもらえるということでした。
抗がん剤や手術が終わっても、まだまだいろいろあるんだな。
と思いました。
日本性科学会による日本語訳の記事で詳しく書いてありました。
http://www14.plala.or.jp/jsss/paper.html
NCI(アメリカがん協会)の放射線療法を受ける方のための性機能についてのQ&Aがありましたのでご参考までに。